男性への着付け
男性が着物を着ている姿は、女性と比べるとあまり見かけないかもしれませんが、男性が着物を着る機会というものももちろんあります。
女性用の着物の着付けと、男性用の着物の着付けで大きく違っている部分は、着物におはしょりがないということです。
女性用の着物は着丈が少し長くできているため、着物を着付けるときには、おはしょりがあるものですが、男性用の着物は身長に合ったサイズのものを着ることが多いので、おはしょりがありません。
男性用の着物で、もしも身長が伸びてサイズが変わったとか、譲り受けた着物なので自分のサイズとぴったり同じではないという場合には、女性のように着物を着付けるときに紐やベルトで調整するのではなく、着物を着る前に仕立て直しをしておいて、自分のサイズに合わせておくことがお勧めです。
ベルトなどで締めることがないため、男性用の着物の脇には身八つ口もありません。
女性の着物の着付けでは微妙に加減することになる衣紋を抜くという着付けのテクニックも、男性用の着物の着付けでは必要はなく、ただ首と肩に添わせて着物をかけるといった感じになります。
男性用の着物姿でも、女性と同様、首元がV字になるような肌襦袢を着ることがお勧めです。
普段着慣れている肌着でも、着物の肌着として充分なのですが、せっかくの凛々しい着物姿からシャツが覗くことは、あまり格好が良いとはいえないからです。
衿元から見えないようなタイプの肌着を着ていれば、衿元は女性ほどきちんと重ねる必要はなく、少し緩めに重ねても大丈夫です。
男性用の着物ではなく、浴衣の着付けをする場合には、長襦袢がないということ以外は、着物の着付けと同様で、さらに簡単になります。
男性用の着物の帯は、女性用の着物帯のように巾があるものはあまりなく、浴衣の半巾帯くらいのもので、角帯と呼ばれるものが多いので、結ぶことも比較的簡単です。
男性用の着物の着付けでは、腰紐も帯を締めるのも、腰がポイントとなりますので、腰で着物を着ているような雰囲気で仕上げていくことがコツとなります。